【読書記録】『バカの壁』

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バカの壁 (新潮新書)

バカの壁 (新潮新書)
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養老 孟司
新潮社
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養老孟司氏著の『バカの壁』
一時期大ブームを引き起こしましたよね。
類似本も沢山出たようです。
今さらですが自宅に転がっていたこの本を読みましたので記録を残しておきます。



「y = ax」という方程式

y : 出力
x : 入力
a : 係数(現実の重み)
(p.31)

人によって、話題によって係数aの値が大きく異なるので、同じことを経験しても反応が異なるという話。
単純だが、「なるほど」と思いました。
著者の養老氏は
『イスラエルについてアラブ人が何と言おうと、さらに世界がいかに批判しようと、その情報に対しては、イスラエル人にとって係数ゼロがかかっている。だから彼らの行動に影響しない』(p.32)
などの例を挙げています。
これが「バカの壁」の正体らしいです。

正直なところ、「バカの壁」という名前にはそれほど共感することは出来ませんでした。
ですが言いたいことは非常に分かります。
辛辣な物言いで連々と書かれている現代社会への苦言はどれも的を得た意見で「これはベストセラーになるわ」と心から思いました。
以降にメモとしていくつかの項目を書き出しておきます。

あ、ちなみに係数aの定義域は
-∞ <= a <= ∞
だそうです。
-∞, ∞は盲信し切っている状態らしく、原理主義ということになります。(p.42等)


本当に個性が求められているのか

『現代社会において、本当に存分に「個性」を発揮している人が出てきたら、そんな人は精神病院に入れられてしまうこと必死。』(p.43)
「個性を大切にしましょう」と言われているが、本当はそんなもの求められてないといった事が本書には書かれています。
本当に求められているのは「常識」と「適応性」なのかもしれませんね。


万物流転、情報不変

「私」という存在ですら常に変化している。
このことを忘れてはならぬということ養老氏はおっしゃています。
一方で「情報」は未来永劫変わらないものだと。
この境が曖昧になっているのが「現代」であり、「情報化社会」なのだというのが養老氏の考えです。
私たちは今一度「私」について深く考える必要があるのかもしれません。

「名実ともに」という言葉を引き合いに出して「昔は自分自身が変わるということが理解されていた」という話を持ってくる辺りは素直に感心しました。
同様に「武士に二言はない」のくだりもスッと頭に入りました。
名が変わる → 自分が変わる
約束は絶対の存在 → 情報(約束)は不変
(p.62~63)

「君子豹変」について

私は本書でこの言葉を知りました。
非常に面白い言葉ですね。
本書以外でこの言葉を目にしたのなら、きっと悪い言葉だと受け止めていたに違いありません。
ですが、養老氏の言うように「悪いと思ったらすぐ改める」ことが真に重要なことであり、変に固執することの方が異常なんですよね。
「芯がしっかりしている」と言われているうちはいいですが「頑固だ」と言われる域にまでいってしまうと駄目だということでしょう。

そう考えると民主党の「ぶれ」はある意味で正しい行動なのかもしれませんね。
民主党の是非は別として。


「知る」と「死ぬ」

学ぶことは「知る」ことで
「知る」とは昨日までの自分が「死ぬ」ことだ
大体こんな感じの事が本書に書かれていました。
「癌の告知を受けると、桜が昨日までとは違った見え方をする」といった例が示されています。
実際には桜が変わったのではなく、昨日までの”桜を気にしなかった自分”が「死んだ」ということです。
「学ぶということは癌の告知に似ている」という記述も大変記憶に残りました。


「身体」と「オウム真理教」

この話も大変興味深い。
私は若干世代が外れているのでオウム真理教事件には詳しくないのですが、
オウム真理教の麻原氏はヨガに長けていたんですね。
当然、それ以外にも人を惹きつける要素が多々あったのでしょうが、ヨガという身体に変化をもたらす技術を会得し、
それを他人に教えることで自身を神格化するという手法には大変興味を抱きました。

言われてみれば自分の身体と本気で向き合った機会なんて最近はとんと減ってしまったような気がします。
人は近代まで「殺されないように」あるいは「狩り(殺人を含む)を成功できるように」自身の身体を真剣に向き合っていたんですよね。
その経験をしなくなった現代人が、既に「異常」な状態なのかもしれません。


「無意識」について

最近は無意識を意識していないよね、という話。
一見矛盾しているかのように思えますが、非常に重要な話題でした。
私も睡眠を非常に軽視している人間ですので、今後は無意識の時間を大切にしていきたいと思います。
『人間、三分の一は寝ている。だから、己の最低限三分の一は無意識なのです。その人生の三分の一を占めているパートについては、きちんと考慮してやらなきゃいけない。』(p.119)


一元論を超えることの重要性

一元論に陥っているから原理主義のようなものが出てくるのだ、という主張。
確かに、もっと物事を多面的に考えるようにしなければ係数aが非常に良くない値になってしまう可能性がある様に感じます。

「一元論を超えて」は最後の章ということもあり、非常に多くのことが書かれています。
まだ理解しきれていない項目も多々ありますので、もっと読み込んで理解を深めたいと思います。

この項目以外にも、共同体や共通意識についての記述については、私のまだまだ考えが浅く理解が及んでいないので
今後じっくり読み返す必要がありそうです。
1周目のメモはこの程度で締めて、2周,3周と繰り返し読んだあとで追記していくことにしますね(´・ω・)

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One Response to “【読書記録】『バカの壁』”

  1. 【読書記録】『超バカの壁』 | Refidea Says:

    [...] で詳細を見る 『バカの壁』の続編です。 (『バカの壁』の読書記録はこちらです。) [...]

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