【読書記録】『超バカの壁』

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超バカの壁 (新潮新書 (149))
養老 孟司
新潮社
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バカの壁』の続編です。
(『バカの壁』の読書記録はこちらです。)
続編とは言っても、この本単体で読んでも問題無いような内容でした。



「自分」について

『日本人の「自分」についての考え方というものは、大筋では現実に合ったものだと思います。意識しようがしまいが私は私である。』(p.42)
日本人の考える「自分」というものは、西洋人の言う「I」とは違うのだという話です。
例として墓の違いを挙げています。
墓を見ることで、
『日本の社会における個の単位は家だということをよく示しているのです。』(p.42)
ということがわかるとのこと。

この問題は家業を継ぐということに深く関係しています。
昔は家単位で”社会に取って必要な”仕事に取り組んでいた。
だから家業を継ぐということが自然に行われていたんですね。

ところが、近年では「私」が「個人」になってきていて、それが社会をおかしな方向に持って行っているというのが養老氏の主張です。
特に仕事探しにおいてそれが顕著に表れているそうで
『おそらく「自分に合った仕事」「自分探し」というようなことをいう人は、何処かで西洋近代的学的な「私」の概念を取り入れているのでしょう。しかし日本の世間自体はそれとは別の成り立ちをしているから困るのです。まず「自分」ありきで、その「自分」に合った仕事をさがすのか。それとも世間、社会に仕事があって、そこに自分をはめこんでいくのか。日本は後者のシステムで来たはずなのです。』(p.46)
と養老氏は述べています。

非常に深い話なので、本当の意味で理解するにはまだまだ時間がかかりそうですが、
現段階では「「自分」というものに囚われず、「社会」にとって必要な仕事をすることが重要である」という風に受け取っています。

人のための作業をしていたら、それがビジネスとして成り立つようになり、終いには企業になった。
そんな話も、社会のために仕事をしていたからこそ成り得たことなのかもしれませんね。

女は強くて男は極端

男女の違いには染色体が関係しており、
両方共X染色体の女性は安定しており、
Y染色体が入る男性は極端にどこかが優れたり劣ったりする
そういうことが4章の「男女の問題」(p.61)では書かれています。

「極端に劣る男性」については、
『たとえばそういう子は生まれた直後に亡くなっているのかもしれません。』(p.65)
と片付けられています。
劣った子が亡くなりやすいとすれば、結果的に男性は「普通」の人と「極端に優れた」人が多いということになりますね。
ただ、寿命の面を見ると女性が優位ですので、
「どの性別が優れているか」という議論がされているわけではありません。

「都市化」と「少子化」

少子化の原因は都市化にあるといった旨の主張。
「らしさ」が消えたというのが問題の根底にあるらしく、
「自然らしさ」が都市化によって失われたように
「子供らしさ」 = 「自然らしさ」も敬遠されているのではないか、という話でした。
『つまり子供は都市から排除される存在なのです。』(p.73)

この問題は人工中絶が公然と行われるようになったことも関係しているとのことです。(p.75)
他にも「ああすればこうなる」式の蔓延が少子化に繋がっているという主張もありました。(p.87)

少子化とは非常に根深い問題なのですね。

『子どもの価値が下がったということは、自然の価値が下がったことと同じ』(p.88)


「戦争責任」と「靖国問題」

「無視せよ」というのが養老氏の主張です。
一見大雑把すぎる意見に見えなくもないですが、読み込んでみるとそうでもないことがわかります。

養老氏は
『すっきりしなくていい』(p.115)
とさえ述べています。
『すっきりしないというのは、別の言い方をすれば後ろめたさと一緒にいろということです。後ろめたさを持って生きるというのは悪いことばかりではありません。』(p.115)
格言です。

金が全てか

『学問がすべてだと言っているのと、お金がすべてだと言っているのは同じです。』(p.124)
「金が全てだ」「金で買えないものはない」という考え方が一元論に陥ったものであると養老氏は指摘しています。


心の傷の問題

日本という国は、昔から災害が多い国であり、昔の人々は災害にあっても「仕方あるめぇ」で片付けていた。
それが近年では自己処理できない人が増えてきている。
それは問題だ。
このような主張を養老氏は行っています。
タフさがなくなってきているということでしょうか。
(p.125~)

このことも原因は「都市化」にあるという見方がなされています。
都市化することで全てを他人のせいに出来るようになってきた。
その結果、自然災害など誰のせいにも出来ないことが「心の傷」となってきている。
そういった内容です。

私たちは今一度
「水に流す」
ということを思い出す必要がありそうです。


もっと読み込む必要がある

『バカの壁』が一元論の危険性について述べていたのに対し、
『超バカの壁』は非常に多くの問題をあらゆる視点から分析しています。
そのため、とてもではありませんが1度読んだだけでは全てを理解しきれません。

「〇〇理論」というものも相当数が本書に登場してきましたので、
今後はこれらについて調べながら読み込んでいきたいと思います。
本エントリにも追記を行っていく予定です。

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